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コント「北風と太陽」

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   舞台中央に2mほどの地球の書割が置いてある。その下手に赤い布をマントのように羽織った女がいる。頭には「太陽」とかかれた帽子を被っている。女はエアギターをかき鳴らしながらオリジナルの歌を歌っている。

女「この素晴らしい地球に生まれて~ 美しい花があるのに~ 原発はいらないのよ~♪」

   舞台上手から男が登場する。灰色の布をマントのように羽織っており、頭には「風」とかかれた帽子を被っている。地球の書割の上手側をせわしなく終始歩いている。

男「太陽のくせにすごい自己矛盾を抱えた歌を歌ってるなあ。あんたの体内原子炉みたいなものだよねえ?」

   歌うのをやめた女が男に気づく。

女「北風さんじゃん!一緒に原発反対のデモしようよ!」

   男=北風はさらに呆れた表情をする。この間も絶えず歩き回っている。

北風「遠慮しておくよ……要するに、暇なんだね、太陽も」

   女=太陽は顔の前で右手人差し指を左右に振りながら北風に言う。

太陽「駄目!陽子って呼んでくれなきゃ!」

北風「太陽に性別ないでしょうに」

   太陽、頬に両手をあてながら

太陽「あーん、顔が火照ってきちゃった」

北風「そりゃ、燃えてるから」

太陽「ところで、ちょっとせわしなく動きすぎじゃないの?」

北風「だって、風だから止まると消えちゃうしね」

太陽「落ち着かないから微風になってくんない」

   北風、地球の書割の上手付近に立ち止まり左手だけゆっくり動かす。

北風「これでいいかな?」

太陽「それでいいわ。……それにしても、暇ね」

北風「太陽が活発になられても地球の人たち困っちゃうし」

   太陽、北風の言葉は無視する。

太陽「ねえ、なんかゲームやんない?」

北風「ゲームと言ってもねえ。あ、神経衰弱でもする?」

   北風、懐からトランプを取り出す。

太陽「ダメダメ、トランプを伏せて置いてもあなた風だからすぐどこかに飛ばしちゃうじゃないの」

北風「そうだった。それに太陽が触ったら燃えちゃうしね」

   太陽、右手親指で鼻の下を右から左へこする仕草をしながら

太陽「あたいに触れたら火傷するよ」

北風「いや、燃えちゃうからね?下手したらその場で蒸発しちゃうからね?」

太陽「じゃあ、なにしようか。ここでずっと地球を見てるだけなのも退屈しちゃう」

   二人、地球を見つめる。北風、地球の中東あたりを指差す。

北風「じゃあ、あのへんに人が一人いるよね」

太陽「あ、砂漠あたりを一人で歩いている人?迷っちゃったのかな?」

北風「旅人みたいだね。あの人が着ているマントをどっちが先に脱がせることが出来るか、勝負しようよ」

太陽「いいわねえ。じゃあ、あたしからいくよ」

   太陽、両手を中東付近に伸ばす。

北風「逆にサングラスして帽子まで被っちゃったよ」

太陽「陽射し強くしすぎちゃったかしらね」

北風「あのへんって暑い国だし、マント脱ぐより日差しを避けるためには逆に脱げないよね」

太陽「じゃあ、次は北風さんの番ね」

   北風、自分のマントを頭から被る。マントの下でごくわずかに動いている。

太陽「なにしてるの?」

   北風、マントから頭だけ出す。

北風「凪にしてる」

太陽「あっ、あの旅人マント脱いだ!」

北風「僕の勝ちね」

太陽「ずるい!北風なんだから盛大に吹かなきゃだめでしょうよ!」

北風「吹くも吹かないも僕の自由。そしたら勝手に太陽の日差しがほどよくなって旅人も安心してマントを脱ぐよ」

太陽「もう~。じゃあ2回戦ね」

北風「まだやるの?」

   太陽、地球の書割から少し離れた場所を指差す。

太陽「じゃあ、次はあの人。白い厚ぼったい服を着たあの人を裸にしたほうが勝ちね」

   北風、太陽の指差すほうを見ながら少し驚く。

北風「いやあれはだめでしょ!」

太陽「なんでよ~?」

北風「だってあれ、宇宙飛行士だから」

太陽「そうなの?変なヘルメットかぶってるなあと思ったけど」

北風「あれ脱がせたらあの人死んじゃうから!」

太陽「なんだ~残念」

北風「そもそも、空気がないから僕はあそこで風を吹かせられないし」

太陽「あ、そうか」

北風「もっと身も蓋もない話していい?」

北風「なあに?今日の陽子はいつもより可愛いねとか?」

北風「違うから!というか最近の君は黒点活動が活発ですから!」

   太陽、両手で顔を覆う。

太陽「酷い!人が気にしてることを!最近ファンデの乗りが悪くて困ってるのに!」

北風「人じゃないし!化粧とかできないでしょ!」

太陽「あたしも表参道とか歩いてみたい!渋谷の109とか行って「つけま」とか買ってみたい!」

   北風、太陽をとりなすように

北風「でもフレアの調子よさそうじゃない?すごく決まってるよ。コロナも流れるように後ろでまとまっていい感じ」

   太陽、北風の顔をじっと見つめて少し近寄る。

太陽「北風さん、優しい。あたし、北風さんのこと……」

   北風、太陽が全てを言う前に同じ距離下がる。

北風「駄目だって、それ以上近づいたら」

太陽「まるでハリネズミのジレンマみたいね、あたしたち」

北風「仕方ないよ。僕は君の活動によって存在してるからね」

北風「というより、僕は君と不可分の存在なんだけどね」

   北風の声に少しずつエコーがかかり、それと同時に彼は少しずつ上手側に移動する。

北風「ということは……もしかするとこれは太陽の独り言になるのかもしれない」

北風「もともと、初めから一人だったのかも」

   暗転5秒間。その間太陽は地球の書割の裏側にいる。北風は上手袖に姿を隠す。

太陽「北風さんどこ?どこにいるの?それとも……最初からあなたは存在してなかったの?」

   明転。地球の下手に立つ太陽、北風の姿はない。

太陽「わたしは気が狂ってるの?」

   地球の書割の裏から北風が飛び出す。

北風「なーんてね。ちゃんとここにいるって」

太陽「北風さん!」

   北風に駆け寄る太陽。北風は両手を前に出し必死に押し留めようとする。

北風「駄目だって~!!!!」

   太陽、北風に抱きつく。

北風「あ~あ」

   北風、マントを頭から被りその場に伏せる。

太陽「あっ!」


   幕が降りる。








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by telomerettaggg | 2014-03-19 04:18 | summaron 35/3.5