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艶やかに光るもの

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ユイは静かに自らの手の内を握り締めた。確かなものは、はみ出すことのない決心と、途絶えることのなくバレルを通り過ぎていく弾丸のみ。未練はない。いつもどおりの足取りでやってくる彼を待つ。

 
 つい昨日まで親しげに話していた相手を撃ち殺す。すり抜けていく寂寥感と後悔など、どうやら最初の一人を殺したときに捨てたらしい。
 
 今彼女が信頼しているのは、肌身離さないルガーのみだ。だからその艶やかに光る銃身をハンドバッグの中でなで続ける。ルビーの小さなピアスをつけた耳も、森の中で密かに光っているような緑色の目も、諸々の感覚を敏感に研ぎ澄ましながら。

 
 ラフなスタイルでテラスに座るユイの元へ彼はにこやかに歩み寄って来た。
 「たまにはこんなオープンカフェもいいものだね。ねぇ、縁起でもないこと言いたくないけれど、どうしたのかな?」
 「なぜかしらね。念願が叶ってよかったでしょう?うだるようなお日様の下でもいいからわたしと外で会ってみたいって言ってたわよね」
 
 ネズミのごとくたかってくる敵から身を隠すためにも、(もっとも彼は知る余地もないことだが)外光にさらされる場所より人目に付かない室内やレストランの奥深い席で会うことを好むユイに対して不思議そうな顔をしていた彼からすれば、バルーンを上げたごとく目立つオープンカフェでの待ちあわせは意外だったのだろう。
 
 「嬉しいな。なんにせよ君を明るい光の下で見ることができるんだから」
 ライトブルーのサマージャケットを背もたれに掛け席に着いた彼は、初めて彼女の左手がハンドバッグの中へ差し込まれたままであることに気づいた。

 
 
 弾はその瞬間彼の心臓を突き抜けた。

 
 タンッと小さく震えたサイレンサー付きのルガーは確実に作動し、シミュレーション通りの仕事を終えたユイは、張り詰めた緊張の糸を少しだけ解き、きれいな顔を少しだけ曇らせて彼の横をすり抜け歩み去っていく。

 苦しませずに殺せたことを安堵したユイは知らない。幾重にも包装された小さな箱が彼のジャケットに入っていたこと、閉ざされぬままの彼の目は彼女への愛情で満たされていたことに。
 









苦い話で終わったこの物語が句読点でしりとりになってることに気づいた人は何人いるかな?なくしたものは二度と戻らない。いい加減に気づいてくれ。
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by telomerettaggg | 2006-12-16 14:47 | summicron 50/2.0