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ホームレス

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KONICA BIG MINI BM-201 Kodak ULTRA COLER 400  marunouchi/tokyo


 長期のキャンプ生活を送っていたことがある。

 夏の間は北海道の無料キャンプ場にテントを張り続けて、日がな一日ボーっとしたり、同じように暮らしている仲間たちと酒を飲んだり馬鹿話に興じたり。
 お金がなくなると農家でアルバイトして、そこで分けてもらった野菜を皆で食べたりもした。

 要するに、ホームレスとキャンパーの違いなどほとんどないに等しくて、住んでいる場所がダンボールの家かテントかというくらいの差でしかないのだ、見た目には。

 ただ、大きく違うのは、まあ、これは俺がホームレスになったことはないのだから想像するしかないが、彼らの多くが疲れ果て、夢も希望もないように見えるのに比べ、これからなにをするのかわからない、自らの可能性について探ることを少しだけ先延ばしにしているのが、キャンパーだということだ。
 野外生活から何かを掴む者もいるけれど、たいていはずっと後になってから、そのときの経験が生きてくるものだ、と思う。

 俺がそこから学んだことはといえば、やりたいことを無理に見つけることはない、ということだったりする。
 そんなものは、限りある未来を搾り取っていく過程で勝手に決まるものだし、そうなればなったで、今の自分に出来ることを力の限りやっていくしかないんだ。


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KONICA BIG MINI BM-201 Kodak ULTRA COLER 400 nihonbashi/tokyo


 地図も何もない、知らない土地で道に迷ったとき、目の前にいきなり看板が現れて、そこに自分の行くべき道が書かれているようなものだ。それがなにかを示唆していることは理解できるのだけれど、それはまるで暗号みたいな得体の知れない記号で殴り書きされていて、なんだこれは?なにをどうすればいいんだ?と途方にくれているのが、あのときの俺だったような気がする。

 じゃあ、今は? もう自分の進むべき道がはっきりしたのか?と誰かに聞かれたら、
 はい、今もまだ見つかってないです、と言うしかないな。

 そんなモラトリアム期間を続けているのだよ。
 それでも特別焦ってはいない。むしろ、なんにでも挑戦してみることの出来る半ば子供のようなこの素晴らしい時間を、出来るだけ長く続けて行きたいとさえ思う。

 そう、焦ることはない。

 道は自然に開けるのだから。

 そう自分に何度も言い聞かせている。
by telomerettaggg | 2007-01-19 20:33 | KONICA BIG MINI