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Qの存在

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 死神は確かにいる。

 突然こんなことを言い出して、いったいあなたは誰?と思うかもしれないね。ま、私が誰かはさておき、死神は本当に存在するんだよ。
 彼らは街の中、駅構内、ファミレス、CDショップの試聴コーナ、どこにでもいる。誰にでも見える。そうそう、見た目は普通の人間と変わらない姿をしているからね。そうやって、死ぬべき人間を観察して、時には話しかけることさえ行なって、本当に死んでもいいかどうかを調査しているんだ。ま、大体の場合は「可」、つまり死んでもいいと判断を下すらしいけどね。死神だって仕事でやっていることだから、面倒なんだろうね。たいして調査もせずに判断しちゃうこともよくあるらしいよ。
 人間の中にはごく稀に、死神を見分けられるヤツもいるらしくって、日本のIという作家がほとんどそのままじゃん、ってこっちが驚くぐらいの詳しい小説を書いたのにはびっくりしたね。ま、誰もそれが真実だなんて思わないだろうからいいんだけど。

 さて、ここまで話して、私は誰か?って話に戻るんだけど、さて、だれだと思う?
 そんなの死神に決まってるじゃん、、、かい?・・・残念、実は違うんだなこれが。

 私は死神とは対極の位置にある存在、と言えば判って貰えるかなあ。


 ある日の私がとった行動は、こうだ。
 街中で貧相な身なりをして歩き回り、ある女性に声を掛けた。街角にしばらくでいいから立って人を待っててくれないか、とお願いしたわけだ。人間の女性は男性よりも数が少ないからか、いつだって男に誘惑される定めにあるのか、なかなか私のお願いも聞いてくれそうになかったけれど、風水学的にあなたが一定時間ここに立っていてくれるだけで竜脈の流れが良くなる、ひいてはあなたにも運が巡ってくる、でも、もしここを離れれば、、、などと半ば脅しににも似た作り話をしたところ、その女性は引き受けてくれたんだ。1本筋の通った、個性的な女性だと思ったから、お金をあげるから、なんてお願いしたところで胡散臭がられるに決まってる、と思ったんだ。これでも人を見る目はあるんでね。

 で、そうやって彼女に立ってもらったところで、今度は男のほうだ。彼のほうは一見して、会社をリストラされたばかりの疲れたサラリーマン崩れだったから、これは少しお金を持っている困った男、をわたしが演じて見せさえすればよかった。案の定、彼は話に乗ってきた。
 彼に頼んだことも、彼女にお願いしたことと同じく、ある場所でしばらく立っていて欲しい、ということだったんだ。

 実は、彼、彼女がその場所に立つ、ということ自体には深い意味はないんだ。時間が経ち、その2人がその場を離れたところで出会うように仕向けるのが私の狙いだったのさ。

 
 
 話は変わるけれど、運命の赤い糸って話、聞いたことがあるでしょう?あれって眉唾ものだって思ってない?ほらそこ、運命なんて自分で切り開いて行くものだ、レールの上を歩く人生なんてつまらない、な~んて格好いいこと言うんじゃないよ。ま、ある意味間違っちゃいないけどさ、また別のある意味じゃ間違ってるよ。
 これまで過ごしてきた生き方、これは過去のものだからもう変えられない。だから人生を道にたとえるなら、なんて格好いい比喩を使うならば、振り返った過去の道はたったひとつっきりだ。でも、これから広がる先の道は一本じゃない。むしろ、無数に枝分かれしているんだ。だからほんの少し先に自分がどうなるかだって見えないし判らない。
 例えば仮に、あなたは今日、道路を歩いていて車に轢かれる運命だったとするでしょう、まあまあ、仮にだからね、そう気を悪くしないで聞いてよ。原因は、昨日左腕にできた虫刺されが気になって、車が来ていることに気づかなかったのかもしれない。なぜ虫に刺されたのか?部屋の窓の網戸が少し破れていたからかもしれない。網戸の破れは、恋人と電話でケンカして怒りのあまり投げつけた鉛筆でできたものだったかもしれない。だから、恋人と喧嘩しなければ結果的に翌日事故に逢うことはなかった、ということになるね。虫刺されに気づいた時点で薬を塗っていたらやはり事故には逢わなかっただろう。気まぐれで違う道を通っていたら?
 要するに、いろんな時点で選択肢はあるし、違う選択をしていたら、それが積もりに積もって結果は全く違ったものになるんだ、ってこと。一つ一つはすごく小さなことだから、気づかないかもしれないし、選択したことすら無意識の行動かもしれない。でも、それはあなたが選んだ道なんだ。いっぱいに広がった糸を紡ぎとって、最終的にひとつの道を選ぶ行為、これこそが運命なんだよ。

 納得していないかもしれないけど、話を元に戻そう。運命の赤い糸の話にね。

 私には、その糸が見えるんだ。将来的に誰と結ばれるか、これはきっと誰だって気になるところだよね。でも、人にはその糸が見えない。ま、見えたら町中赤い糸だからけできっと赤い靄みたいになってるよきっと。
 誰かと誰かは繋がってる。これは確実なんだけど、この糸がやたらと長い人もいる。もうどうにかしてあげないと出逢えないくらい遠い場所にいるってこともある。
 北京の女性とスワジランドの男性が繋がっていたこともあったし、一番遠かったのは南極観測所の隊員の1人とストックホルムの女性だったね、あれは遠かった。
 ま、そういう物理的な遠さもあるけれど、厄介なのは、出会う可能性はきわめて近い位置に住んでいるにもかかわらず、運命の悪戯なのか、はたまたそういうめぐり合わせなのか、出会えずに一生を終えてしまう男女もいるってことなんだ。
 そんなとき、私の出番がやってくるんだ。いろんな手を使って、その2人が出会うきっかけを作るのが、私の仕事なんだ。そうやって、恋に落ちた2人はやがて結婚し、子供を作り、そうやってまた人は増えていく。

 ほら、私の存在は死神とは対極にあるって最初に言ったでしょう?

 ま、いまどきの死神が黒いマントに長い鎌を持ってなんかいないように、私たちだって裸で背中に羽つけて、弓矢を持ちながらぷかぷか浮かんでる、なんてことはないわけだよ。どっちも見つかったらおまわりさん呼ばれちゃうからね。

 これで、私が誰かは判ってもらえたと思うんだけど。まだ判らない?

 ま、いいか、そんなもんだからね、私たちの存在って。

 でもね、これだけは言っておきたいんだ。きっとあなたにも、運命の出会いがあるってことを、ね。














 お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この話は過去のエントリでアップした3つの話と繋がっております。新しいエントリが一番上に来る、というブログの性質上、続きものの話を書こうとすると、結末からアップしなければならなくなり、小説は巻末から読む、という方以外にはつまらないものとなってしまいます。

 なので、それぞれの話を独立させ、どこから読んでもいいような形にしてみました。
 以下に、過去のお話へのリンクを載せておきますね。

  〇彼の願いをかなえる方法(3月7日)

 〇 待ち続ける人(3月13日)

 〇 素敵な出会い(3月31日)

 ま、話のクオリティは別の次元のことですが(あ、口調が・・・^^)
 
 写眞ブログで、私のようにお話を書く、という方はあまりいらっしゃらないようで、おそらくここを見に来てくださる方の中にも、いまいち付いていけない、という感想をお持ちの方が多いかと思いますが、ここはこんなブログです^_^);;

 写眞を撮ることと同じくらい、空想のお話を書くことが大好きな3人でございます。
 もしかしたら万が一、こんな話を書いて欲しい、という要望などございましたら、コメントにでも書き込んでくだされば、喜び勇んで書かせていただきますよ。私は誉められると伸びるタイプなのです。
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by telomerettaggg | 2007-04-05 03:49 | CANON LENS 35/2.0