TTAGGG

見あげて

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neopan400presto


 そこに作為はなかった。いや、ボクにはそんなことをするつもりはなかった、と言っておきたい。

 日差しの強い夏の午後、一緒に歩いていた彼女をふと見ると、なにかにおびえるようにして俯いている。

 「どうしたの?」

 聞いても、「あれ、あれが、、、」と上のほうを指差すばかりで要領を得ない。
 そこになにかあったっけ、といぶかしがりながら指差すほうを見上げると、そこには、大きなボウリングのピンがあった。屋根の上にそびえるピンは、そこがボウリング場なのだからあって当然なのだけれど、なぜ、それにおびえるのかボクにはさっぱり判らなかった。

 「ああいうね、普段ありえないような大きなものを見ると、ゾッとしてしまうの」
 「大きなもの、、、たとえば、○○屋の上に乗っかっている熊の張りぼてとか?」
 「そう、あれは、もう、だめ」

 そんなものが怖いだなんて、今まで全く知らなかったボクは、彼女が冗談を言ってるのだろうと思い込んだ。それで、ほんの少し意地悪を思いついた。
 「じゃあ、あれは?」
 ボクが指差した方をつい見てしまった彼女は、今まで聴いたこともなかった悲鳴を上げると、その場にうずくまってしまった。

 指差した方向には、高さ5mはあるマネキンが鎮座していた。

 それが原因で、その後1週間口を聞いてもらえなかった。
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by telomerettaggg | 2007-08-09 00:58 | M-Rokkor40/2.0