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An uneasy children's story

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 「不安かね」

 ・・・というよりもむしろ心配です。

 「この状況が、かね」

 ・・・こんなところに連れて来られて、なおかつじっとしていろ、と言われれば誰だって心配になるんじゃないですか。だんだん怖くなってきました。

 「それが正常な反応、ということなのかもしれないな。でも私のように、こういうじめじめとした、光の射さないところこそ、落ち着く者だっているのだよ」

 ・・・あなたは、異常なのですか。

 「なにを基準にして異常か、正常とするかはどうやって判断するのかね。人を殺したいとひたすら願いながらごく平凡な日常生活を送っている者だっているよ。反対に、発作的な感情で人を殺してしまう者だっている。このうちどちらが異常か、答えられるかな」

 ・・・ボクは、正常です。ほかの人のことは、判りません。

 「猛烈になにかを破壊したい、という衝動に駆られたことはあるかね」

 ・・・ない、と思います。むしろ誰かに破壊されることを恐れているほうです。

 「私はもうとっくに壊れている立場だからな。遊ばれ、分解され、壊されてからここにやってきた。もしかするとこれから燃やされるかもしれない。しかし、それは物事の成り行きであって、恐れることには繋がらないのだよ」

 ・・・ボクは、また誰かに連れて行ってもらえることを願っているのかもしれない。たとえその先で切り刻まれるとしても。

 「ほら、誰かが向こうからやってきたよ」

 ・・・お願いします!ボクを拾ってください!薄汚れているけれどまだまだ元気なんです。お願いします!




 橋の下、その薄暗い影の中でどんな会話が交わされているか、
 不安な気持ちで通り過ぎる人々にその声が聞こえることはない。





 
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by telomerettaggg | 2008-01-21 19:26 | RICOH caplio R5