TTAGGG

七夕

d0103236_182444100.jpg







 「ねえ、今日はどこにもいかないの?」
 少しけだるそうな口調で彼女は尋ねる。
 震える指でタバコをふかしながら、そういえば今夜は七夕だったな、と思い出す。
 「べつに、どこにも行くつもりはないよ」と、無理にそっけなく答えて彼女の反応をうかがう。やはり不満そうだ。
 「あたしの浴衣姿見たくないのぉ?」
 それは見たい。けれど、七夕にはあまりいい思い出がない。夜店を歩いていて不良に絡まれたり(俺は喧嘩がからきし弱い)痴漢に間違われたり、走ってきた子供が狙いを定めたように手に持ったわたあめごと俺の胸に飛び込んできたり、毎回散々な目に遭っている。
 「どこか人のいない場所ならいいんだけど」こんな日はどこだって人ごみで溢れかえっているはず、そう予測して答えてみる。
 「ああ、それならうちのマンションの屋上で花火を見に行こうよ」
 乗り気な彼女の熱意に押されて、出かけることになった。

 ところで、部屋から屋上に上がるだけの行為は、外出といえるのだろうか。

 ビールや食べ物を買出しに出かけた先で、数々のイベントが待ち構えていることを、俺はまだ予測しきれていなかった。





 
 
[PR]
by telomerettaggg | 2008-07-07 18:37 | Nikkor35-70/3.3-4.5