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迫ってくる

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 カーディガンズのPVだったか、狭い部屋の中で演奏していると、両側の壁がどんどん迫ってきて、それでもめげずに演奏を続ける、みたいな映像があった。
 ドラムセットは潰され、ギターとベースは壁にはさまれネックが折れる。まだまだ我慢してボーカルは歌い続ける。
 最後はどうなったのか、よく覚えていない。

 あのPVを見てから、狭い路地を抜けるときなど、この壁がいま迫ってきたら、という想像をしてしまう。
 でも、そういう狭いところが好き。
 猫みたいだ、と言われたことがある。広い場所では、自分の身体の置きかたがわからなくなってしまうのだ。子供の頃は、わざと机の下に頭が入るように布団を敷いて寝ていたほど。

 マイスペース。ここは、自分だけの場所。誰も入ってこれない。その安心感が欲しかったのか、と考える。
 なにに脅え、またいったいなにから身を守ろうとしていたのだろう。

 そのくせ、重い布団は苦手なのだ。
 なにかが上から覆いかぶさってきて、首を絞めてくる。僕は必死に抵抗し、それから逃げようとするのに、どうやっても力がはいらない。汗をかきながら気づくと夢だった。そんなときはいつも布団を頭まで被っているのだ。布団で窒息死。笑えない冗談だな、とも思う。

 いろんな自己矛盾を抱えながら、それをどうやって解消すればいいのか、時折わからなくなる。
 ま、そういうもんだから。
 そのうちどうにかなるさ。
 そうやって意識の隅に押しとどめておくしかないのだろうか。
 窮屈な身体の中に押し込まれた僕はそうやって、とりとめのないことを考え続ける。





 
by telomerettaggg | 2009-06-13 02:59 | summaron 35/3.5