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神はどこかへ旅立つことにした

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by telomerettaggg | 2012-11-30 19:41 | Lumix phone P-05c

自己とはどこにあるのか

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 大好きだった女の子が死んだ。
 でも心配することはない。今の時代、死などそうたいした重大事でもない。一度肉体を失うこと、それ自体はやはり大事件には違いない。大切にしていた車が盗まれたときのような、喪失感にしか過ぎないが、悲しみはやはり存在する。

 それでも、再生技術の進歩はすさまじい。ある一定の基準を満たした者に限られはするが、肉体をその思考そのものを取り戻す形で再生することが可能になったのだ。基準といっても、それはあくまで人口爆発を防ぐための言い訳にしか過ぎず、再生そのものに困難な個体が存在するわけではない。

 女の子は復活した。生前からのバックアップによる脳内スキャンデータとともに、細胞再生された肉体を与えられた彼女は、どう見ても、その声も仕草も、まさにそのままだ。
 厳密に言えば元の細胞とは別物なのだが、遺伝子レベルでも見分けがつかず、これからの行動パターンも相変わらず少しドジで、愛嬌のある彼女そのままだ。

 例えば、人は生きていてもその細胞は順次入れ替わる。数年すれば元の細胞を構成していた組織は脳や歯などの一部を残してすっかり入れ替わる。いや、分子単位ではそれも全く違ったものになっているだろう。それでも人は生きている。誰もそれを別人だと呼ぶことはないだろう。脳までもがエミュレート可能になった現代において、人は死と言う概念から逃れることに成功したのかもしれない。



 別の友人の話をしよう。
 僕と友人はある計画を立てた。インターネットが駆け巡る世界で、少しだけその社会から切り離された場所へ行こうと考えたのだ。電源さえ確保できれば衛星回線経由で地球上どこにいてもネットに接続できるこの時代、完全に遮断された生活はこちらが望まない限り訪れない。
 道を歩いていてもネットニュースはどこでもホログラム化された光線として飛び交い、買い物、食事ひとつにしてもネットの情報を参考にしなければ偽物をつかまされるかもしれないのだ。

 友人は言った。ヨットを借りて無人島へ行こう。なあに、いざとなったらいつでもこいつでネットにつなげるから大丈夫さ。頑丈な防水仕様のPC筐体を叩きつつ、僕を誘う。僕はそれに応じた。
 大方の予想通り、無人島での生活は不便を極めた。大抵の場合、キャンプは不便さを楽しむために存在するものだ、とも言える。そうやって文明生活のありがたみを知るために、あるいはタフな男であることを証明するために有るものらしい。

 食料、水は充分に持ち込んだ。キャンプに必要な機材もネットを通してあらかじめ調べ揃えた。恥ずかしながら二人ともキャンプなど、ましてや文明を離れた暮らしなど全く皆無だったのだが、まあそこはなるようになるだろうとたかをくくった。いざとなれば友人の持ち込んだPCがあるし、ヨットはGPS誘導式の最新型だ。マップで航路を設定すれば馬鹿でも目的地に辿り着ける。

 それでも、僕らは文明のありがたみをついて早々味わうことになった。
 まず、火のつけ方が判らない。グリルはあるが取扱説明書などは存在しない、そういったマニュアルの類は全てネットからダウンロードしなければならない。しかし島にいる間はネットを使わないのが二人の間で交わした約束だ。どうにもこうにもいかず、その日は缶詰での夕食となった。
 さらに同じ理由でテントの設営もうまくできず、ランタンの点し方も不明とあってはもうにっちもさっちもいかず、日が暮れると同時に寝袋にもぐりこんで眠るしかなかった。

 おかしいなあ。友人がひとりごちる。一応来る前に保険として道具の使い方はネットで調べておいたのだという。しかし実際の場面になってみると、上手く行かない。立体投影された仕様説明手順に従って操作する分には、問題なかったんだが。
 友人は中空に右手を突き出している、人差し指と中指に何かを挟む仕草で、少しいらついているようだ。
 もしかして、煙草忘れたの?僕が尋ねると、この際だから禁煙しようと思ってと返って来た。しかし禁断症状は収まらず、言葉つきは荒い。いつもは冷静な受け答えをするはずの友人だが、煙草とはそこまで惑溺性の高いものだったか。非喫煙者の僕には判らないが、場をごまかすために冗談めかして言う。

 じゃあ、いつもの穏やかな君、あれは君じゃなかったんだね。いつも僕が話していたのは君じゃなくてニコチンだったんだ。
 友人は僕の嫌味とも取れる言葉に怒る気力もないらしく、そうかもしれないな、と答えた。そして何もない虚空のVサインの隙間から澄んだ大気を吸い込み、吐き出した。
 
 ネットのありがたみを実感するとともに僕は考える。
 僕は、どう考えても僕でしかない。しかし、ネットから切り離された今、情報を利用できない今の僕らは自分の体を上手く使うことさえ出来ず、食事も満足に摂れない。これは果たして僕といえるのだろうか?
 
 ネットも自分の一部であることが判明した今、そこから切り離された僕や友人は僕ではなく、友人ではない何者かでしかないのかもしれない。ニコチンの切れた彼が彼でないように。
 

 自己とはそれほど儚く、そして曖昧なものに過ぎないのだ。
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by telomerettaggg | 2012-11-14 20:21 | Lumix phone P-05c

竹林

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 たけばやし、と呼ぶより「ちくりん」のほうがしっくりと来る。
 孟宗竹は北海道では育たない。よって道民はいわゆる竹が生えている様を見たことがないので驚く人が多い。文化の違いとは同じ国内でも様々である。
 九州で生まれ育ったものにとって、竹林とは遊び場であり筍の里であり、風にそよぐ姿、ざわめきを肌で感じるもの。郷愁や懐古の念を誘う存在でもある。

 自転車で登っている苦渋の時にはそんなこと微塵も考えはしなかったが。
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by telomerettaggg | 2012-11-08 17:10 | Lumix phone P-05c

丘登り

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自転車レースで言うところのヒルクライムは直訳すると丘登りだけれど、実際はものすごい勾配で標高も山岳レベルだったりする。
自分が登るのは文字通りの丘クラス。

これから真冬になるまでの短い期間、自転車に乗るには最適な気候だ。





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by telomerettaggg | 2012-11-06 02:17 | Lumix phone P-05c