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タグ:空想写眞 ( 151 ) タグの人気記事

僕の右手を知りませんか?

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 目が覚めると、僕の右手がいなくなっていた。

 寝ぼけ眼で左手に「右手はどこにいったか知らないか?」と尋ねると、左手はまぶしそうに電灯の明かりをさえぎりながら「知らない」と答えた。
 右目に「右手はどこに行ったかか知ってるか?」と聞いても「昨日は朝まで飲みに出かけていたから知らない」と答えた。左目は「寝ていたから知らない」だそうだ。
 玄関を開けて外を見回してみる。どこにも右手は見当たらない。
 ベランダであくびをしている猫に「僕の右手がどこに行ったか知りませんか?」と尋ねると、猫はごろんと仰向けになって、「カラスに聞いてみたら」と答えた。カラスはどこにいるのだろう。そう重ねて聞いたら「尋ねてばかりじゃなく、自分で探すことを覚えたらどう」とつれない返事。
 「それよりも早くご飯をおくれよ」とせがむ猫の声を聞きながら、僕は右手を捜しに外へと出かけた。
 カラスがどこかへ連れて行ってしまったのだろうか。それとも、僕がいやになって飛び出して、悪い人たちの仲間になってしまったのだろうか。電線の上や、屋根の上も探したけれど、見つからない。僕は苦しくなって、頭を掻き毟ろうとしたけれど、右手がいないと、そんな簡単に思える仕草さえできないことに気づいた。
 昨日まで、何も考えずに右手をこき使ってきたことを思うと、愛想つかされても仕方ないか、と思った。
 

 僕の右手を、知りませんか?





 

 
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by telomerettaggg | 2008-06-24 16:59 | Nikkor35-70/3.3-4.5

会話

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鹿1 「ほら、ほらっ」

鹿2 「もう~、やめ~っていうとるやろ」

鹿1 「ほれ~、ほれっ」

鹿2 「いい加減にせいよ!」

鹿1 「くさい?くさい?」

鹿3 「わしのほうに流れてきとるんじゃ!」





 
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by telomerettaggg | 2008-06-22 15:16 | Nikkor50/f1.2 Ai-s

ゆらぐ・くずれる・おちる

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 気を失ったことが二度ほどある。
 小学校のころなど、夏の暑い日の朝礼で、低血圧気味の女の子が倒れたりすることがあったけれど、健康そのものだった自分には、どうして?と思うばかりで、たいして注意も払っていなかったように思う。
 
 心地よい日差しの6月のある日、久しぶりにギターを持ち出して公園で弾こうと思い立った。部屋からそこまで、歩いて数分なのだけれど、途中少し急な階段があって、気が急いていた私は、2段飛ばしで駆け上がって目的地に向かった。
 さあ、ついたぞ、少し息が上がっていたので、石段に腰掛けた。
 と思った瞬間、目の前が暗くなった。
 前のめりに落ち込んでいく時、横目にキャッチボールしている親子の姿が見えた。
 意識を喪失する刹那は、意外なほど心地いいもので、眠りへと導かれる工程を早回しにしたような感覚があった。
 人は、死を恐れるのに、活動を停止する眠りに関しては、どうして恐れを感じないのだろう。
 あんなに無防備で、再び起き上がる保障すらないのに。

 起き上がって、かけていたメガネのつるが折れ、こめかみに痛みを覚えながら、そう思った。





 
 
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by telomerettaggg | 2008-06-17 22:34 | RICOH caplio R5

sink deeply

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 成長する、ということは、不思議なことが少しづつなくなっていくことだ。と彼は思った。
 新鮮さが失われ、深く沈殿した澱みの底を見るとき、そのことを強く感じるのだ。底なし沼などないことを。あるいは無限を確かめる術などないことを。ただそこには、永遠かと感じるほどの日々と、地層が堆積していくかのごとく降り積もる水滴があるのみ。すくなくとも彼の主観ではそう感じられた。
 主観によらない客観はない、というのが彼の持論だ。どれだけ平均的な意見や、観測される事象を平らに伸ばした考えを述べたところで、それは自分という1つの個を通してみえる現実のごく一部でしかないのだ、というのがその根拠だ。ただ、情報量が増えるにしたがって、その客観的なビジョンが精度をあげるだけのこと。

 それでも彼は、世界を広げたかった。小さな二つの目をもっと違う現実に向けてみたかった。強く熱望した。 そしてこの降雨は、底のある底なし沼の深さを更に押し上げ、天井のある天井知らずの空を更に近くした。しかるべくして、彼の行く手をさえぎる壁は力を失い、今まさにそれを飛び越えられるまでになったのだ。
 
 そうやって、 frogmanは、潜ることをやめ、manであることを失ってまでも、その両足で草むらへと飛び跳ねた。素晴らしい世界を見るために。

 全てを見るには、絶望的なほど短い寿命を、更に縮めることになろうとも、彼はそうすることを望んだ。

 客観的に言えば、人間だって全てをやりつくすには短い一生だろ。そう嘯きながら。





  
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by telomerettaggg | 2008-06-09 11:11 | RICOH caplio R5

A conclusion because of the love

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「ほらほら、あの車すごくね?」

 大の車好きな彼は、一緒に歩いていても珍しい車を見かけると、すぐに飛びつくように近寄り、こっちに来いよ、と手招きする。あたしは、乗り物全般に興味がないのだけど、彼のそのニコニコの笑顔はわりと好きだ。だから、小首をかしげて彼の目を見つめながら、話の先を促したりする。
 これは、こういう車でね、何年に作られて、こんなところで活躍したんだ、という彼の説明を聞きながら、いつものように締めくくるのを待つ。

 「でもね、僕は車を買っても維持することは出来ないし、満足な走りもさせてあげられないってわかってる。だから、車は好きだけれど、車は買わないんだ」
 愛があるからこそ、あえて出した結論なんだ、と彼は言う。

 あたしはいつもこう思う。
 不釣合いかどうかは、試してみなくちゃわからないのに。
 好きなんだったら、もっと近づけばいいのに。
 
 そう思っているのに、結局、やっぱり彼の笑顔にはかなわない。
 だからいつものように、大好きな人の元へ、わん、と吠えながら駆け寄っていくのだ。





 
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by telomerettaggg | 2008-06-05 03:36 | SMENA8M

The freedom that was restricted

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 誰にでも、これは譲れないという優先順位があるものだ。ある人にとってそれは家族を守ることであったり、お金だったりする。
 自分にとって譲れないものとはなんだろう。お金、名誉、地位、どれもさして重要ではないし、望まれるなら誰かにくれてやってもちっとも惜しくない。
では、私を動かす行動原理になってきたものは一体なんなのか。
 それは、自由であるということ。
制限の中でなければ自由は生まれない、とある人は言う。「俺は自由だ」と嘯いて殺人を犯すことは間違っている、というわけだ。
私は自由に行動したい。けれど、人を殺したり、誰かが悲しむことはしない。それが制限内での自由というものだから?法律の中で行動している限り、自由は保障されているから?
違う。
私は、殺されたくない。だから殺さない。
ただ、それだけのことだ。
ずっと先のことを考えずに、生きていけることだけが望みだ。予定はせいぜい、数ヶ月先までで充分。

 それでもいつか、自分から自由を望まないときが来るかもしれない。そのときは、ためらわずに、それを捨てようと思う。
 自由を捨てるという自由もあるのだということを、思いに留めておくのだ。





 
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by telomerettaggg | 2008-05-27 03:56 | RICOH caplio R5

A soil fish

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ふわふわ ぷかぷか
ただよう ただよう
踏まれながら 泥にまみれながら
浮遊する





 
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by telomerettaggg | 2008-05-08 20:33 | RICOH caplio R5

dispute outbreak

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nara


「次は大仏を見に行こうぜ」
「いや、五重塔がいいなあ~。お前はどうよ」
 腕組みしながら考えていた男は、ひとり悩みまくっている。
「ん、どうした?」
「いや……」
男はそこらじゅうを闊歩している鹿を眺め回しながら、
「あの、鹿がもらって食べてるせんべいあるよな。あれって果たしておいしいんだろうか」
「いや、うまくはないだろ。鹿はおいしいのかもしれないけれどさ」
「でも、あれ見ろよ」
後ろの男が指差す先には、観光客が差し出すせんべいに見向きもせずに座り込んでいる鹿がいた。
「食傷気味なんじゃないの。これだけ客がいるわけだし、たくさんもらって飽き飽きしてるとか」
「いやいや」これまで発言していなかった男が意外な事実を指摘した。
「そこかしこに鹿せんべいを売っているおじさんおばさんがいるよね。でも、無造作に並べられているせんべいを鹿が奪わないのはなぜだ。まさか、そう躾けているわけじゃないだろう」
「だから~。実はそんなに好きなわけじゃないんだって」
 いやいや、あーだこーだ、喧々諤々の論争が繰り広げられた結果、話は最初に戻った。
 一人が、150円でしかせんべいをひと束買い求め、全員でいっせいに食べてみることにした。

 せーの。

「味がしねえ~」




「で、鹿はこれがうまいと思ってるわけ」
論争はまたはじめに戻る。 




 

  
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by telomerettaggg | 2008-04-06 20:15 | RICOH caplio R5

I understand it

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 たった一つの真実がそこにあればいいから

 有限の時の中に 無限の言葉を刻む

 幻想と幻滅の摂理に押し合いながら

 分かり合えれば 分かり合いたい

 不確かな希望と 曖昧な覚悟を決めて

 そう問いかける 問い掛け続ける

 誰に?

 そう自分に あなたに 真理に





 

 

 

 
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by telomerettaggg | 2008-03-24 20:44 | Nikkor50/f1.2 Ai-s

Five folds

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 愉快なリズムで50も  

 理解なきISMで途中を

 撒き散らしては 舞い戻る

 吐き尽しては 這い守る

 重ねた不快な不満も

 かたした向かいの粉末も

 掻き分けながら 潜りこむ

 柿売りながら 浮き上がる

 
 素晴らしいでしょ 

 憎たらしいでしょ

 去りがたいでしょ

 何もしたくないでしょ

 齧りながら 終わらない歌を歌う




 
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by telomerettaggg | 2008-03-22 19:37 | RICOH caplio R5