見送り

川沿いの道で前を行く彼女の運転する車のブレーキランプが赤く燈った。
後ろからバイクで追いかけていたボクはギリギリのところでぶつからずに止まった。
「どうしたのこんなところで。バス停はもう少し先じゃない?」
「ううん、ここでいいの。ここから歩いていくから」
歩くといってもまだかなりの距離があるのだけれど、言い出したらまず彼女の意見は変らない。
諦めてボクもバイクを道端に寄せた。
彼女はもう泣き出しそうで、それでもキッ、と口を強く結んだまま車にもたれかかった。
ボクはそっと近寄る。彼女の頬を軽く撫で、うつむいた顔にかかった前髪を両手でよけながら、
そっと、触れるだけのキスをした。
こんなところに車を停めてどうするんだろう?
ああ、そうか、これは夢なんだった。
でも、夢だと判っているのに こんなに悲しいのはどうしてなんだろうね。
by telomerettaggg
| 2006-12-15 20:08
| KONICA BIG MINI